短編集。何となく物足りなかったりキツかったりするものも。表題作は「東海道四谷怪談」を髣髴とさせる。トップとラストの2作品は好き。
トップの作品は『記憶の技法』に出てきた青い目の少年の小学生時代。
現状に対する比喩というか皮肉だと私は認識したのだけど、
これは確かにそうだ。「リアル・ワールド」をそのように定義している人が多い。つまり、世間というのは、人の愛や創造性を抑圧するようにできているという信念を持っている人だ。彼らにとって仕事にはガマンが不可欠なものであって、ガマンしないで金を稼ぐ奴はズルをしているということになる。「でも、自分のしたいことをのびのびやって、しかもたくさんの人を喜ばせてしっかり金を稼いでいる人もいますよ」と言うと、「そういう人は特別」と「リアル」の外に出してしまう。